日々是考察

「考えること」を生業とするため、日々のあれやこれやを考えます。

書くことについて考える

「書くこと」はどういうことか。

 

その意味は字を書くこと、文章を作ることが挙げられる。総じて、自らの思考を文字に起こす行為が「書くこと」だろう。

 

今でも手書きでものを書く人も多いが、ブログやSNSの出現で「書くこと」が手軽になった昨今、文字を通してネットには人々の思考で溢れている。

 

そんな「書くこと」が失われるかもしれないと感じる出来事があった。

 

2023年3月20日放送の『クレージージャーニー』で、人体改造の取材をしているケロッピー前田氏の旅をTV番組にしていた。そこで、イーロン・マスクが持つ会社の一つが脳にマイクロチップを埋め込み、思考がデジタル機器の操作に反映させる実験を動物で行い、成功したということが紹介されていた。人体での実験はまだだが、将来的には1秒間に100文字入力できるようになるであろうという技術だそうだ。

 

それを知って、私はその技術が確立されたら、「書く」ということは人間から失われるだろうなと思った。なぜなら、その技術は思考をそのままデジタル画面へ出力できるからだ。ひょっとしたら思考からデジタル画面への変換時に「書く」という動作の信号は残るかもしれないが、教育と技術革新次第ではその「書く」行為は滅ぶだろう。

 

今は手書きでもデジタルでも自らの思考を文字に起こす行為を「書く」と表現しているが、将来「書くこと」は真に手書き文字に限定される行為になるかもしれない。一方で、手書きで文字を書くことは、廃れるか、高尚な趣味の一環として振り分けられるか、そのどちらかになるであろう。

 

今は、手書きの文字もデジタル文字も、同じ「書く」で表現される最後の時代かもしれない。